映画ウィキッド考察|エルファバは本当に“悪”なのか?(ネタバレ注意)

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エルファバは本当に“悪”なのか?

映画『ウィキッド』は、『オズの魔法使い』の前日譚として描かれていますが、主人公エルファバは「西の悪い魔女」として知られています。しかし、本当に彼女は“悪”だったのでしょうか?

「彼女は悪ではなく、ただ誤解されていただけなのでは?」と思う人も多いはず。物語には、偏見やプロパガンダ、友情と裏切りといったテーマが深く絡んでいます。本記事では、エルファバの生い立ちや行動の背景を徹底考察し、本当の彼女の姿を探っていきます。

エルファバはなぜ「西の悪い魔女」になったのか?

エルファバは生まれつき緑色の肌を持ち、その見た目の違いから幼少期から差別を受けてきました。彼女の父親は妹のネッサローズばかりを可愛がり、エルファバは常に孤独を感じていました。しかし、彼女は生まれながらに強い魔力を持ち、シズ大学に入学すると、次第にその才能が注目されるようになります。

しかし、オズの国では「動物排斥運動」が進められており、エルファバはその不正に立ち向かおうとします。彼女の行動はオズの支配者にとって都合が悪く、マダム・モリブルやオズの魔法使いによって「危険な魔女」として仕立て上げられてしまいました。結果として、彼女は「西の悪い魔女」として恐れられる存在となったのです。

このように、エルファバが「悪」とされたのは、彼女の意志ではなく、周囲の社会的圧力によるものでした。果たして、彼女は本当に“悪”だったのでしょうか?

グリンダとの関係|二人の友情と運命

エルファバとグリンダは、シズ大学で出会った当初はまったく馬が合わない間柄でした。グリンダは華やかで人気者、エルファバは孤独なアウトサイダー。しかし、ある出来事をきっかけに、二人は親友となります。

それは、学内のダンスパーティーでのこと。グリンダはエルファバをからかうつもりで彼女に黒い帽子をプレゼントしますが、エルファバはそれを気にすることなく、堂々と踊ります。周囲の嘲笑の中で自分を貫くエルファバの姿に、グリンダは初めて彼女の強さと魅力を感じ、二人の間には本当の友情が芽生えました。

しかし、オズの魔法使いの陰謀により、エルファバは「悪」として追われる身となります。グリンダは彼女を救うことができず、「南の善い魔女」として担ぎ上げられる道を選びます。これは二人の決定的な分岐点となりました。

最終的に、グリンダはエルファバを見捨てたことを悔やみながらも、自らの道を歩むことを選びます。二人の友情は複雑で、善と悪の境界が曖昧なまま物語が進んでいきます。

映画・ミュージカル・原作の違いを比較

『ウィキッド』は、もともとグレゴリー・マグワイアの小説『オズの魔女記』が原作であり、それを基にしたブロードウェイミュージカル、そして今回の映画版へと展開されています。それぞれの作品にはストーリーやキャラクターの解釈に違いがあり、特にエルファバの描かれ方が異なります。

原作では、エルファバは政治的な陰謀に巻き込まれた革命家として描かれ、よりシリアスで社会風刺的な要素が強いです。一方で、ミュージカル版は「友情」と「運命」の要素を強調し、グリンダとの関係がより感動的に描かれています。そして映画版では、ビジュアルの表現力を活かしつつ、より大衆向けのエンターテイメント性が加えられています。

以下に、映画・ミュージカル・原作の主な違いをまとめます。

比較項目映画版ミュージカル版原作小説
エルファバの性格正義感が強く、誤解される存在外の世界に憧れるが、勇敢な性格知的で政治的な活動をする
グリンダとの関係友情は深いが、立場の違いで分かれる対立しつつも強い絆を持つ友情はあるが、より現実的な距離感
物語の結末前編のみの公開のため不明
(アメリカでの劇場公開は2025年11月を予定)
エルファバの運命は観客の解釈に委ねられるダークで現実的な終わり方
主なテーマ善悪の曖昧さ・運命友情・アイデンティティ政治・差別・社会批判

このように、どのバージョンを見るかによって『ウィキッド』の印象は大きく異なります。映画を観た後は、ミュージカル版や原作小説と比較してみるのも面白いでしょう。

善と悪は本当に存在するのか?『ウィキッド』が問いかけるもの

映画『ウィキッド ふたりの魔女』では、善と悪の境界線が曖昧に描かれています。オズの国では「西の悪い魔女」と「南の善い魔女」という二極化されたイメージが広まっていますが、実際のエルファバとグリンダはそんな単純な存在ではありません。

エルファバは、生まれつき緑色の肌を持つことで差別を受けながらも、正義感を持ち、不正と戦おうとする女性です。しかし、オズの魔法使いやマダム・モリブルの策略によって「危険な魔女」として追われる立場になります。彼女が本当に“悪”であるかどうかは、誰が物語を語るかによって変わるのです。

一方のグリンダは、周囲の期待に応えることを優先し、結果的にエルファバと対立する立場に置かれます。彼女は本当に“善”なのでしょうか?それとも、社会のルールに従っただけなのでしょうか?

『ウィキッド』は、単純な勧善懲悪の物語ではなく、「誰が善で誰が悪なのか?」というテーマを観客に問いかけます。現実の世界でも、「善と悪」は時代や立場によって変わることがある――映画はそんな視点を私たちに提示しているのかもしれません。

まとめ|エルファバは本当に“悪”だったのか?

今回の記事では、映画『ウィキッド ふたりの魔女』の前編に焦点を当て、エルファバが本当に“悪”なのかを考察しました。以下、ポイントをまとめます。

  • エルファバは生まれつきの特徴(緑色の肌)で差別を受けていた
  • 動物排斥運動に反対し、正義を貫こうとしたが、オズの支配者により悪者に仕立てられた
  • グリンダとの関係は友情に満ちていたが、立場の違いが二人を引き裂いた
  • 「善と悪」は絶対的なものではなく、視点によって変わる

『ウィキッド』は単なるファンタジーではなく、社会の偏見や権力の操作をテーマにした作品です。エルファバは本当に悪だったのか、それとも誤解されただけなのか――あなたはどう思いますか?






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